10月最後の土曜日に開催された「丹後 そざいとくらし展」。
天候にも恵まれたこともあって、多くの人が訪れて、とても賑わっていました。
丹後地域でモノづくりをされているメンバーが集まって、今年初めて開催されたイベントです。
中心になっていたのは、NEW WeAVE NEW TANGO プロジェクトに参加されているみなさん。
これまで、活動のお披露目の場が、阪急うめだ本店などの遠方だったこともあり、改めて地元の人たちにも知ってもらえれば、という思いがきっかけになったそうです。
木製品や織物、陶器や提灯といった数々の製品とその作り手。そして飲食店や似顔絵師も出店していたり、ワークショップなどもあって、こどもから大人まで笑顔にあふれるイベントになりました。
会場になったのは、京丹後市・弥栄の ” KUKU LUMBERYARD ” 。
大小数多くの無垢材が所狭しと並べられている、福田工務店の展示場です。
普段は、主に建築や内装のデザインや設計・施工に関わるような専門家が訪れる場所ですが、この日はイベントの流れで、老若男女の幅広い層の人たちが珍しそうに木材を眺めてます。
そこでみなさんに寄り添って説明をしているのが、ご主人の福田正吾さん。福田工務店の三代目です。
福田工務店は、昭和15年にこの地で創業。
初代の福田政数さんが一代で築き上げ、広く丹後地域の住宅・店舗・社寺仏閣に携わってきました。
政数さんは、各地の材木商を訪ね歩き、日本のみならず世界の銘木を仕入れ、製材から手がけて質のよい家を建てる大工でした。家造りのために材木を大量に備蓄してきたというのは、実は少し珍しいタイプの工務店だそうです。
「福田の家は高い」と言われる一方で、そのクオリティの高さもよく知られていて、時には城崎や神戸の家を手がけることもあったのだとか。
よい木材を使い、丁寧に建てられた家は、しっかりしていて住みやすく、今でも当地には多く残っているそうです。そういった古い家のメンテナンスも、大切な仕事のひとつです。
そんな福田工務店の歴史を引き継ぐ正吾さんですが、元々は家業を引き継ぐことにあまり関心はなかったそうです。祖父や父親の仕事に触れることもほとんどなく、実際に社会人になって携わっていたのは全く違う分野の仕事でした。
しかしながら家業を引き継ぐことになり、戻ってきた京丹後で倉庫に大切に残されていた多くの木材に接します。その多種多様な無垢材の持つ魅力に目覚め、自然の中で育まれた木材が持つおもしろさに引き込まれていったそうです。
長い時間をかけてストックされていた良質な木材には、中には今となっては希少な樹種もあり、そのおかげで多くの仕事が舞い込んでくることになります。
その結果、古くからの木材は一部をのぞいてどんどんとお客様のもとへ旅立っていきます。そこで正吾さんは、初代の政数さんと同様に自ら木材の目利きと仕入れを手がけることになります。
その主な舞台は、月に一度、全国から売り手と買い手が集まる岐阜で開催される材木市。
仕入れの時には、普段からどれだけ木を触っているか経験と知識が求められるということで、正吾さんは倉庫にあった良質で多種多様な木材のおかげで、短い期間に自然とそれが身に付いていったようです。
市で仕入れる木材には、お客様からの要望で仕入れるものと、当てがあるわけではなくその場の思い付きで仕入れるものがあります。正吾さんは祖父譲りの直感のおかげか、後に役に立つようなよい材を仕入れることが少なからずあるのだとか。
つい最近、工場では日本でも数台しかないような製材機を仕入れ、より大きな丸太を加工することができるようになったので、直感による仕入れがますます勢いを増すことになるかも?
一方、新築の木造住宅の着工数は年々減少しています。
そこで、これまでとは違う形でも無垢の木と暮らす豊かさを届けていきたいという思いから、KUKU(クク) というブランドを新しく立ち上げます。木々という言葉の古称だそうです。
これからは、建築や内装だけでなく、カウンターやテーブル、また看板といった店舗の家具や什器。あるいは皿やトレイ・カッティングボードのような身近な木製品に至るまでを幅広く手がけることで、現代のライフスタイルに様々なカタチで無垢材のぬくもりを取り入れてもらえるような動きをしていきます。
KUKU LUMBERYARD では、数多くの無垢材がみなさんの訪れを待っています。