FACTORY
工房紹介|デザイン橡
2023年4月、ATARIYA オンラインショップに加わったPARANOMAD(パラノマド)『さざなみヘアターバン』。誕生の背景には、豊かなものづくりのネットワークがあります。ATARIYAが提案する、ものをたどる旅/ TRACE THE TANGO*。Vol.2「さざなみヘアターバン」オンライン版へ、ようこそ! 今日の旅ではさざなみヘアターバンの特徴である、藍染の物語をたどります。 「どこかで見た生葉(なまは)染めの藍染がすごくいい水色をしていて。畑をやっているから、自分で育てたら染められると思ったんだ」。デザイン橡 代表 豊島美喜也さんを魅了したのは、うすい水色をした藍染。一般的に藍染といえば紺色のしっかりした色合いを思い浮かべるでしょうか。PARANOMAD代表は、デザイン橡の藍染ブランケットを初めて見た時のことを今でも覚えています。テーブルの上に置かれたブランケットには流れる水のような色彩が浮かんでいました。コットンの柔らかい質感と相まって、なんて気持ちよさそうな生地だろうと飛びついたのです。 さまざまな色合いの経糸 デザイン橡にて デザイン橡のものづくりは、建築設計に始まり、美喜也さん自身が作り手となる大工、家具職人、そして機屋(はたや)と多岐に渡ります。手機や紡績機の自作と修繕ができるため、機大工としても各地を飛び回る日々。綿花を栽培し、日本古来の紡績方で糸を作り、手織りの生地を織り上げる。一方で力織機を用いた金属線の織物も開発し…その活躍の幅広さから、丹後のミケランジェロとも呼ばれています。 デザイン橡 豊島美喜也さん ブランケットに身惚れたPARANOMADに「藍染は楽しいよ。やってみたらいいんじゃない?」と美喜也さんは声をかけてくれました。そんなに簡単にできるものなんだろうかと驚きつつ、体験させてもらうことに。布を藍甕に漬け、水ですすぐ。基本の作業はとてもシンプルです。藍甕から引き上げた布が濃いカーキからブルーに発色していくさまは、とても不思議で美しいものでした。 PARANOMADの生地に藍染を施して デザイン橡には畑から育てた藍と、北海道と徳島から取り寄せたスクモの計3種類の甕を設置しています。副材料で使う木灰は冬の間のストーブからストックしてあり、水は井戸水を使うため廃水を気にする必要もありません。ものづくりや伝統と聞くと、職人にしか許されない特別なものと身構えてしまいそうですが、藍染めも綿花の栽培も少し前まで普通の家で行われていました。機織りも特別な技術ではなかったのです。現代は、生活の中で物を作ることがあまりに少なくなったのではないでしょうか。もちろん精緻なものづくりは昔から職人が技を磨き、深く均一な藍染めは紺屋(藍染や染めの専門家)でなければ難しいですが、ものづくりはもっと身近な存在でした。 デザイン橡は「そんなことないよ」とものづくりの世界に梯子をかけてくれる存在です。PARANOMADだけではなく、工房を訪ねてくる人みなに綿花や手織りの楽しさをシェアしてくれます。美喜也さんは福岡県出身。街から離れた田舎で子供時代を過ごしたそうです。「いま工房がある地域よりもっと田舎で、隣の家までとても遠かった。お店も何もないところで、山に入って何かを採ったりして遊んでいたんだ」。作ることは遊びでもあり、暮らしの一部でもありました。人々が手放してしまったものを作る行為を、当たり前のこととして身体に蓄えてきたのです。繊維産業を特殊なものと身構えず、手と頭に染み付いた「つくる」ことへ変換してきました。 乾燥させた藍の葉...
工房紹介|デザイン橡
2023年4月、ATARIYA オンラインショップに加わったPARANOMAD(パラノマド)『さざなみヘアターバン』。誕生の背景には、豊かなものづくりのネットワークがあります。ATARIYAが提案する、ものをたどる旅/ TRACE THE TANGO*。Vol.2「さざなみヘアターバン」オンライン版へ、ようこそ! 今日の旅ではさざなみヘアターバンの特徴である、藍染の物語をたどります。 「どこかで見た生葉(なまは)染めの藍染がすごくいい水色をしていて。畑をやっているから、自分で育てたら染められると思ったんだ」。デザイン橡 代表 豊島美喜也さんを魅了したのは、うすい水色をした藍染。一般的に藍染といえば紺色のしっかりした色合いを思い浮かべるでしょうか。PARANOMAD代表は、デザイン橡の藍染ブランケットを初めて見た時のことを今でも覚えています。テーブルの上に置かれたブランケットには流れる水のような色彩が浮かんでいました。コットンの柔らかい質感と相まって、なんて気持ちよさそうな生地だろうと飛びついたのです。 さまざまな色合いの経糸 デザイン橡にて デザイン橡のものづくりは、建築設計に始まり、美喜也さん自身が作り手となる大工、家具職人、そして機屋(はたや)と多岐に渡ります。手機や紡績機の自作と修繕ができるため、機大工としても各地を飛び回る日々。綿花を栽培し、日本古来の紡績方で糸を作り、手織りの生地を織り上げる。一方で力織機を用いた金属線の織物も開発し…その活躍の幅広さから、丹後のミケランジェロとも呼ばれています。 デザイン橡 豊島美喜也さん ブランケットに身惚れたPARANOMADに「藍染は楽しいよ。やってみたらいいんじゃない?」と美喜也さんは声をかけてくれました。そんなに簡単にできるものなんだろうかと驚きつつ、体験させてもらうことに。布を藍甕に漬け、水ですすぐ。基本の作業はとてもシンプルです。藍甕から引き上げた布が濃いカーキからブルーに発色していくさまは、とても不思議で美しいものでした。 PARANOMADの生地に藍染を施して デザイン橡には畑から育てた藍と、北海道と徳島から取り寄せたスクモの計3種類の甕を設置しています。副材料で使う木灰は冬の間のストーブからストックしてあり、水は井戸水を使うため廃水を気にする必要もありません。ものづくりや伝統と聞くと、職人にしか許されない特別なものと身構えてしまいそうですが、藍染めも綿花の栽培も少し前まで普通の家で行われていました。機織りも特別な技術ではなかったのです。現代は、生活の中で物を作ることがあまりに少なくなったのではないでしょうか。もちろん精緻なものづくりは昔から職人が技を磨き、深く均一な藍染めは紺屋(藍染や染めの専門家)でなければ難しいですが、ものづくりはもっと身近な存在でした。 デザイン橡は「そんなことないよ」とものづくりの世界に梯子をかけてくれる存在です。PARANOMADだけではなく、工房を訪ねてくる人みなに綿花や手織りの楽しさをシェアしてくれます。美喜也さんは福岡県出身。街から離れた田舎で子供時代を過ごしたそうです。「いま工房がある地域よりもっと田舎で、隣の家までとても遠かった。お店も何もないところで、山に入って何かを採ったりして遊んでいたんだ」。作ることは遊びでもあり、暮らしの一部でもありました。人々が手放してしまったものを作る行為を、当たり前のこととして身体に蓄えてきたのです。繊維産業を特殊なものと身構えず、手と頭に染み付いた「つくる」ことへ変換してきました。 乾燥させた藍の葉...
工房紹介|丹菱株式会社
ATARIYA オンラインショップに新しいプロダクトが加わりました。 PARANOMAD(パラノマド)『さざなみヘアターバン』は、海の青色をイメージした藍染と、上品に輝く丹後ちりめんを波のきらめきに見立てたヘアアクセサリーです。この小さなアイテムに丹後のものづくりネットワークがぎゅっと詰まっています。 ATARIYAが提案する、ものをたどる旅/ TRACE THE TANGO*。 Vol.2「さざなみヘアターバン」オンライン版へ、ようこそ! 今日は与謝野町岩滝でポリエステルちりめんを製造する丹菱株式会社(以下、丹菱)へご案内します。 さざなみヘアターバン誕生のきっかけは、PARANOMAD代表自身が丹菱のヘアターバンを愛用していたことに始まります。丹菱のファクトリーブランドTRIP1のヘアターバンは、上品な質感と洗濯機で洗える気軽さが人気のプロダクトです。 1960年に創業した丹菱は、アパレル向けちりめん生地を撚糸から製織まで一貫生産する織元です。シルクで有名な丹後ですが、実はレーヨンやポリエステルなど化合繊の織物産地でもあります。丈夫でお手入れが簡単という利点を持ち、和装から洋装衣料まで幅広く使われていますが、受注量は減少傾向にありました。 丹菱のポリエステルちりめん(写真提供:丹菱) 危機感を覚えた3代目 糸井宏輔さんは、従来の卸売に加え2020年にアパレルブランドTRIP1を立ち上げます。きっかけは奥様ひとみさんへの贈り物だったそうです。1着でコーディネートがサマになり、洗濯機で洗えてアイロンも要らない。忙しい子育て期にぴったりという手応えから、ポリエステルちりめんの可能性を再発見します。従来は、年配の女性向け衣料品の生地が中心でしたが、カラーリングを変えればターゲットを広げられると手応えを感じました。 丹菱3代目 糸井宏輔さん 「今日に至るまで友人やたくさんの職人さんの支えがありました」。TRIP1の商品開発を振り返って宏輔さんは言います。素晴らしい縫製職人さんとの出会いがあり、当初は身内など近しい方への洋服作りからスタートしました。またひとみさんは子育て期まっさかりの母親であり、毎日忙しい女性に役立つ機能性や日常生活に彩りを添える華やかさを大切に、企画を進めています。 TRIP1ジャケット(写真提供:丹菱) TRIP1の衣服はジャケット、パンツ、ワンピースなど約10種類。顧客の体型に合わせた受注生産をとっています。ほとんどの製品は仕上げまで地域内でまかなうMade in Tangoだそうです。冒頭に紹介したヘアターバン以外に、キャップ、Tシャツ、手袋といったファッション小物も企画。ポップなカラーリングとトレンドに合ったアイテムの掛け合わせで、百貨店催事でも来場者に人気でした。...
工房紹介|丹菱株式会社
ATARIYA オンラインショップに新しいプロダクトが加わりました。 PARANOMAD(パラノマド)『さざなみヘアターバン』は、海の青色をイメージした藍染と、上品に輝く丹後ちりめんを波のきらめきに見立てたヘアアクセサリーです。この小さなアイテムに丹後のものづくりネットワークがぎゅっと詰まっています。 ATARIYAが提案する、ものをたどる旅/ TRACE THE TANGO*。 Vol.2「さざなみヘアターバン」オンライン版へ、ようこそ! 今日は与謝野町岩滝でポリエステルちりめんを製造する丹菱株式会社(以下、丹菱)へご案内します。 さざなみヘアターバン誕生のきっかけは、PARANOMAD代表自身が丹菱のヘアターバンを愛用していたことに始まります。丹菱のファクトリーブランドTRIP1のヘアターバンは、上品な質感と洗濯機で洗える気軽さが人気のプロダクトです。 1960年に創業した丹菱は、アパレル向けちりめん生地を撚糸から製織まで一貫生産する織元です。シルクで有名な丹後ですが、実はレーヨンやポリエステルなど化合繊の織物産地でもあります。丈夫でお手入れが簡単という利点を持ち、和装から洋装衣料まで幅広く使われていますが、受注量は減少傾向にありました。 丹菱のポリエステルちりめん(写真提供:丹菱) 危機感を覚えた3代目 糸井宏輔さんは、従来の卸売に加え2020年にアパレルブランドTRIP1を立ち上げます。きっかけは奥様ひとみさんへの贈り物だったそうです。1着でコーディネートがサマになり、洗濯機で洗えてアイロンも要らない。忙しい子育て期にぴったりという手応えから、ポリエステルちりめんの可能性を再発見します。従来は、年配の女性向け衣料品の生地が中心でしたが、カラーリングを変えればターゲットを広げられると手応えを感じました。 丹菱3代目 糸井宏輔さん 「今日に至るまで友人やたくさんの職人さんの支えがありました」。TRIP1の商品開発を振り返って宏輔さんは言います。素晴らしい縫製職人さんとの出会いがあり、当初は身内など近しい方への洋服作りからスタートしました。またひとみさんは子育て期まっさかりの母親であり、毎日忙しい女性に役立つ機能性や日常生活に彩りを添える華やかさを大切に、企画を進めています。 TRIP1ジャケット(写真提供:丹菱) TRIP1の衣服はジャケット、パンツ、ワンピースなど約10種類。顧客の体型に合わせた受注生産をとっています。ほとんどの製品は仕上げまで地域内でまかなうMade in Tangoだそうです。冒頭に紹介したヘアターバン以外に、キャップ、Tシャツ、手袋といったファッション小物も企画。ポップなカラーリングとトレンドに合ったアイテムの掛け合わせで、百貨店催事でも来場者に人気でした。...
TANGO CELLAR|かや山の家
1月に開催された、初めての Trace the Tango 。 https://atariya.kyoto/news/ttt_uastool/ 第1回目は「UA Stool をたどる旅」で、その時にランチをいただいたのが、かや山の家という施設にあるヤマノウエ食堂。 眼下に広がる棚田で採れたお米をはじめ、地元の食材がふんだんに使われた料理の数々は、丁寧に作られていてかなり高い満足度。 そして提供されるジビエは、店主自らが捌いて加工したものです。 遠方からも、わざわざ足を運んで来られるお客様もいらっしゃる人気の場所になっています。 大江山の中腹に佇む建物は、もとは少年自然の家だったもの。棚田越しに与謝野の町が一望できる絶好の立地にあります。施設は宿泊がメインですが、いくつかのプログラムも用意されていて、束の間の里山体験ができる場所。 そのかや山の家を運営されているのが、青木博さんです。 元々この場所からほど近くで生まれ育ちましたが、18歳で大阪に。 特に明確な目的があったわけではなかったそうなのですが、子どもの頃から料理が好きだったこともあって、ごく自然に進んだのが飲食業の道。 そこから12年ほどの間に、最初の6年は厨房、後半の6年は主にサービス。その間にソムリエの資格も取得するなど、マルチな経歴を積んできました。 仕事が一段落したのと、ちょうどその頃にお子さまが生まれるというタイミングで、生まれ育った与謝野町へUターン。 そこから程なくして、かや山の家の運営に携わるようになったそうです。 この施設は、15年ほど前に府から与謝野町に譲渡され、地元地域が委員会を結成して運営していました。...
TANGO CELLAR|かや山の家
1月に開催された、初めての Trace the Tango 。 https://atariya.kyoto/news/ttt_uastool/ 第1回目は「UA Stool をたどる旅」で、その時にランチをいただいたのが、かや山の家という施設にあるヤマノウエ食堂。 眼下に広がる棚田で採れたお米をはじめ、地元の食材がふんだんに使われた料理の数々は、丁寧に作られていてかなり高い満足度。 そして提供されるジビエは、店主自らが捌いて加工したものです。 遠方からも、わざわざ足を運んで来られるお客様もいらっしゃる人気の場所になっています。 大江山の中腹に佇む建物は、もとは少年自然の家だったもの。棚田越しに与謝野の町が一望できる絶好の立地にあります。施設は宿泊がメインですが、いくつかのプログラムも用意されていて、束の間の里山体験ができる場所。 そのかや山の家を運営されているのが、青木博さんです。 元々この場所からほど近くで生まれ育ちましたが、18歳で大阪に。 特に明確な目的があったわけではなかったそうなのですが、子どもの頃から料理が好きだったこともあって、ごく自然に進んだのが飲食業の道。 そこから12年ほどの間に、最初の6年は厨房、後半の6年は主にサービス。その間にソムリエの資格も取得するなど、マルチな経歴を積んできました。 仕事が一段落したのと、ちょうどその頃にお子さまが生まれるというタイミングで、生まれ育った与謝野町へUターン。 そこから程なくして、かや山の家の運営に携わるようになったそうです。 この施設は、15年ほど前に府から与謝野町に譲渡され、地元地域が委員会を結成して運営していました。...
TANGO CELLAR|臼井織物・たてつなぎ
福田工務店のランバーヤードで開催された「丹後 そざいとくらし展」。 その一角に、丹後に縁のあるひとたちなら、思わずくすりとしてしまうようなアイテムが並べられていました。 これらのアイテムは、「たてつなぎ」という、丹後の織物屋の後継者たちが結成したユニットが開発したもの。メンバーの3人は、いずれも丹後を離れて別の仕事をしていたのですが、しばらくして戻ってきて家業に従事しているという共通点があります。 そのうちのひとりが、臼井織物の臼井勇人さん。 この時は、ちょっと変わったエプロンを着て来場者と話をされていました。 光の当たり具合で色が変わって見える、不思議な素材。 これは”たまむし染め”という昔からある友禅の技法を、ちりめん生地に施したもの。 そのちりめん生地は、通常のものより糸をかなり強く撚った、勇人さん考案のものです。また普通は横糸のみに使われる強撚糸を縦糸にも使うことで、凹凸がより強くしっかりと出ています。 その凹凸が光を乱反射させて、色の変化を生み出しているわけです。 臼井さんは、このようなちょっと変わったちりめん生地を開発することに日々挑戦しています。 それもあまり使い道は考えないで、これまで丹後の他のどの機屋も取り組んでいないようなものを如何に生み出すか?が重要なポイントです。 臼井織物株式会社は、1952年に与謝野町で創業されました。 高級絹織物の産地である丹後では、数少ない合成繊維の織物に特化した織元です。 また、通常は数社にまたがって分業になっている工程を内製化していて、糸を撚る”撚糸”から、織物に仕上げる”製織”まで自社で一貫しています。 そうすることで、安定した品質で、柔軟な対応力で、高い再現性で、オリジナリティの高い織物を製造することができます。 その本業に従事する傍ら、勇人さんはユニークな織物作りに取り組んでいます。特に、硬いちりめん生地を織ることにこだわりがあって、開発のひとつのテーマになっているそうです。 本来の絹のちりめんは、しなやかさや柔らかさが特徴。 その逆を張って、ちりめんの技術を使いながらどれだけ硬いちりめん生地が作れるか?が、ひとつのこだわりです。...
TANGO CELLAR|臼井織物・たてつなぎ
福田工務店のランバーヤードで開催された「丹後 そざいとくらし展」。 その一角に、丹後に縁のあるひとたちなら、思わずくすりとしてしまうようなアイテムが並べられていました。 これらのアイテムは、「たてつなぎ」という、丹後の織物屋の後継者たちが結成したユニットが開発したもの。メンバーの3人は、いずれも丹後を離れて別の仕事をしていたのですが、しばらくして戻ってきて家業に従事しているという共通点があります。 そのうちのひとりが、臼井織物の臼井勇人さん。 この時は、ちょっと変わったエプロンを着て来場者と話をされていました。 光の当たり具合で色が変わって見える、不思議な素材。 これは”たまむし染め”という昔からある友禅の技法を、ちりめん生地に施したもの。 そのちりめん生地は、通常のものより糸をかなり強く撚った、勇人さん考案のものです。また普通は横糸のみに使われる強撚糸を縦糸にも使うことで、凹凸がより強くしっかりと出ています。 その凹凸が光を乱反射させて、色の変化を生み出しているわけです。 臼井さんは、このようなちょっと変わったちりめん生地を開発することに日々挑戦しています。 それもあまり使い道は考えないで、これまで丹後の他のどの機屋も取り組んでいないようなものを如何に生み出すか?が重要なポイントです。 臼井織物株式会社は、1952年に与謝野町で創業されました。 高級絹織物の産地である丹後では、数少ない合成繊維の織物に特化した織元です。 また、通常は数社にまたがって分業になっている工程を内製化していて、糸を撚る”撚糸”から、織物に仕上げる”製織”まで自社で一貫しています。 そうすることで、安定した品質で、柔軟な対応力で、高い再現性で、オリジナリティの高い織物を製造することができます。 その本業に従事する傍ら、勇人さんはユニークな織物作りに取り組んでいます。特に、硬いちりめん生地を織ることにこだわりがあって、開発のひとつのテーマになっているそうです。 本来の絹のちりめんは、しなやかさや柔らかさが特徴。 その逆を張って、ちりめんの技術を使いながらどれだけ硬いちりめん生地が作れるか?が、ひとつのこだわりです。...
TANGO CELLAR|KUKU(福田工務店)
10月最後の土曜日に開催された「丹後 そざいとくらし展」。 天候にも恵まれたこともあって、多くの人が訪れて、とても賑わっていました。 丹後地域でモノづくりをされているメンバーが集まって、今年初めて開催されたイベントです。 中心になっていたのは、NEW WeAVE NEW TANGO プロジェクトに参加されているみなさん。 これまで、活動のお披露目の場が、阪急うめだ本店などの遠方だったこともあり、改めて地元の人たちにも知ってもらえれば、という思いがきっかけになったそうです。 木製品や織物、陶器や提灯といった数々の製品とその作り手。そして飲食店や似顔絵師も出店していたり、ワークショップなどもあって、こどもから大人まで笑顔にあふれるイベントになりました。 会場になったのは、京丹後市・弥栄の ” KUKU LUMBERYARD ” 。 大小数多くの無垢材が所狭しと並べられている、福田工務店の展示場です。 普段は、主に建築や内装のデザインや設計・施工に関わるような専門家が訪れる場所ですが、この日はイベントの流れで、老若男女の幅広い層の人たちが珍しそうに木材を眺めてます。 そこでみなさんに寄り添って説明をしているのが、ご主人の福田正吾さん。福田工務店の三代目です。 福田工務店は、昭和15年にこの地で創業。 初代の福田政数さんが一代で築き上げ、広く丹後地域の住宅・店舗・社寺仏閣に携わってきました。 政数さんは、各地の材木商を訪ね歩き、日本のみならず世界の銘木を仕入れ、製材から手がけて質のよい家を建てる大工でした。家造りのために材木を大量に備蓄してきたというのは、実は少し珍しいタイプの工務店だそうです。 「福田の家は高い」と言われる一方で、そのクオリティの高さもよく知られていて、時には城崎や神戸の家を手がけることもあったのだとか。 よい木材を使い、丁寧に建てられた家は、しっかりしていて住みやすく、今でも当地には多く残っているそうです。そういった古い家のメンテナンスも、大切な仕事のひとつです。 ...
TANGO CELLAR|KUKU(福田工務店)
10月最後の土曜日に開催された「丹後 そざいとくらし展」。 天候にも恵まれたこともあって、多くの人が訪れて、とても賑わっていました。 丹後地域でモノづくりをされているメンバーが集まって、今年初めて開催されたイベントです。 中心になっていたのは、NEW WeAVE NEW TANGO プロジェクトに参加されているみなさん。 これまで、活動のお披露目の場が、阪急うめだ本店などの遠方だったこともあり、改めて地元の人たちにも知ってもらえれば、という思いがきっかけになったそうです。 木製品や織物、陶器や提灯といった数々の製品とその作り手。そして飲食店や似顔絵師も出店していたり、ワークショップなどもあって、こどもから大人まで笑顔にあふれるイベントになりました。 会場になったのは、京丹後市・弥栄の ” KUKU LUMBERYARD ” 。 大小数多くの無垢材が所狭しと並べられている、福田工務店の展示場です。 普段は、主に建築や内装のデザインや設計・施工に関わるような専門家が訪れる場所ですが、この日はイベントの流れで、老若男女の幅広い層の人たちが珍しそうに木材を眺めてます。 そこでみなさんに寄り添って説明をしているのが、ご主人の福田正吾さん。福田工務店の三代目です。 福田工務店は、昭和15年にこの地で創業。 初代の福田政数さんが一代で築き上げ、広く丹後地域の住宅・店舗・社寺仏閣に携わってきました。 政数さんは、各地の材木商を訪ね歩き、日本のみならず世界の銘木を仕入れ、製材から手がけて質のよい家を建てる大工でした。家造りのために材木を大量に備蓄してきたというのは、実は少し珍しいタイプの工務店だそうです。 「福田の家は高い」と言われる一方で、そのクオリティの高さもよく知られていて、時には城崎や神戸の家を手がけることもあったのだとか。 よい木材を使い、丁寧に建てられた家は、しっかりしていて住みやすく、今でも当地には多く残っているそうです。そういった古い家のメンテナンスも、大切な仕事のひとつです。 ...
TANGO CELLAR|PARANOMAD
ATARIYA の一角にある TANGO CELLAR 。 丹後の魅力的な食や文化、工芸などが集まるショーケースとしての役割を担っています。 その中のひとつの展示物として置かれてある、さざなみヘアターバン 。 海をイメージした藍染めコットンに、上品に輝く丹後ちりめんを波のきらめきに見立て、その二つの素材を組み合わせて作られたヘアターバンです。 このアイテムを開発したのは、PARANOMAD 。 主催である 原田美帆 さんは、大手住宅メーカーでインテリアコーディネーターとして戸建住宅の内装を手がけ、空調・照明・間取り・造作家具・タイル装飾・カーテン・家具などの提案と設計を担当。 その後、現代アートオフィス勤務を経て、地域おこし協力隊として丹後に移住。地域の活性化に尽力する一方で、2015年にこのテキスタイルブランドを立ち上げました。 そのきっかけとなったのは、ある時突然に降りてきた「オーダーメイドカーテンをつくる」というアイデア。「窓から見える景色やそこに住む人の世界観からデザインするカーテン。これだけオーダーメイドがある世の中にまだない。私が作ればいいんだ!」という思い。 インテリアコーディネーターとして数多くのカーテンを見てきた経験から、クライアントの生活空間を包みこむ世界唯一の布づくりがライフワークになります。 そして長い歴史を持つ織物の産地・丹後に移住。 地元の織物工場との様々なプロジェクトに参加する過程で、国内各地の織物産地とも交流を重ね、多種多様なテキスタイルに触れてきました。 その経験が、オリジナルプロダクトの企画・制作に活かされています。 その傍ら、丹後を発信する様々な取り組みにも参加し、ライターやコーディネーターとしての活動もされています。 まず、THE TANGO 。 SEA・LUXURY・FOODの三つの要素で丹後の魅力を伝えるというこのウェブメディアでは、ライターとして様々なところを巡り記事を執筆しています。...
TANGO CELLAR|PARANOMAD
ATARIYA の一角にある TANGO CELLAR 。 丹後の魅力的な食や文化、工芸などが集まるショーケースとしての役割を担っています。 その中のひとつの展示物として置かれてある、さざなみヘアターバン 。 海をイメージした藍染めコットンに、上品に輝く丹後ちりめんを波のきらめきに見立て、その二つの素材を組み合わせて作られたヘアターバンです。 このアイテムを開発したのは、PARANOMAD 。 主催である 原田美帆 さんは、大手住宅メーカーでインテリアコーディネーターとして戸建住宅の内装を手がけ、空調・照明・間取り・造作家具・タイル装飾・カーテン・家具などの提案と設計を担当。 その後、現代アートオフィス勤務を経て、地域おこし協力隊として丹後に移住。地域の活性化に尽力する一方で、2015年にこのテキスタイルブランドを立ち上げました。 そのきっかけとなったのは、ある時突然に降りてきた「オーダーメイドカーテンをつくる」というアイデア。「窓から見える景色やそこに住む人の世界観からデザインするカーテン。これだけオーダーメイドがある世の中にまだない。私が作ればいいんだ!」という思い。 インテリアコーディネーターとして数多くのカーテンを見てきた経験から、クライアントの生活空間を包みこむ世界唯一の布づくりがライフワークになります。 そして長い歴史を持つ織物の産地・丹後に移住。 地元の織物工場との様々なプロジェクトに参加する過程で、国内各地の織物産地とも交流を重ね、多種多様なテキスタイルに触れてきました。 その経験が、オリジナルプロダクトの企画・制作に活かされています。 その傍ら、丹後を発信する様々な取り組みにも参加し、ライターやコーディネーターとしての活動もされています。 まず、THE TANGO 。 SEA・LUXURY・FOODの三つの要素で丹後の魅力を伝えるというこのウェブメディアでは、ライターとして様々なところを巡り記事を執筆しています。...