工房紹介|丹菱株式会社

工房紹介|丹菱株式会社

ATARIYA オンラインショップに新しいプロダクトが加わりました。

PARANOMAD(パラノマド)『さざなみヘアターバン』は、海の青色をイメージした藍染と、上品に輝く丹後ちりめんを波のきらめきに見立てたヘアアクセサリーです。この小さなアイテムに丹後のものづくりネットワークがぎゅっと詰まっています。

 

ATARIYAが提案する、ものをたどる旅/ TRACE THE TANGO*

Vol.2「さざなみヘアターバン」オンライン版へ、ようこそ!

今日は与謝野町岩滝でポリエステルちりめんを製造する丹菱株式会社(以下、丹菱)へご案内します。

 

さざなみヘアターバン誕生のきっかけは、PARANOMAD代表自身が丹菱のヘアターバンを愛用していたことに始まります。丹菱のファクトリーブランドTRIP1のヘアターバンは、上品な質感と洗濯機で洗える気軽さが人気のプロダクトです。

 

1960年に創業した丹菱は、アパレル向けちりめん生地を撚糸から製織まで一貫生産する織元です。シルクで有名な丹後ですが、実はレーヨンやポリエステルなど化合繊の織物産地でもあります。丈夫でお手入れが簡単という利点を持ち、和装から洋装衣料まで幅広く使われていますが、受注量は減少傾向にありました。

 

丹菱のポリエステルちりめん(写真提供:丹菱)

 

危機感を覚えた3代目 糸井宏輔さんは、従来の卸売に加え2020年にアパレルブランドTRIP1を立ち上げます。きっかけは奥様ひとみさんへの贈り物だったそうです。1着でコーディネートがサマになり、洗濯機で洗えてアイロンも要らない。忙しい子育て期にぴったりという手応えから、ポリエステルちりめんの可能性を再発見します。従来は、年配の女性向け衣料品の生地が中心でしたが、カラーリングを変えればターゲットを広げられると手応えを感じました。

 

丹菱3代目 糸井宏輔さん

 

「今日に至るまで友人やたくさんの職人さんの支えがありました」。TRIP1の商品開発を振り返って宏輔さんは言います。素晴らしい縫製職人さんとの出会いがあり、当初は身内など近しい方への洋服作りからスタートしました。またひとみさんは子育て期まっさかりの母親であり、毎日忙しい女性に役立つ機能性や日常生活に彩りを添える華やかさを大切に、企画を進めています。

 

 TRIP1ジャケット(写真提供:丹菱)

  

TRIP1の衣服はジャケット、パンツ、ワンピースなど約10種類。顧客の体型に合わせた受注生産をとっています。ほとんどの製品は仕上げまで地域内でまかなうMade in Tangoだそうです。冒頭に紹介したヘアターバン以外に、キャップ、Tシャツ、手袋といったファッション小物も企画。ポップなカラーリングとトレンドに合ったアイテムの掛け合わせで、百貨店催事でも来場者に人気でした。

 

 

ヘアターバンのコラボレーション企画は、TRIP 1のヘアターバン生産ノウハウのもと進められました。PARANOMADが持ち込んだコットンの生地は、ヘアターバンに使う生地としてはやや厚みと張り感があります。薄手のちりめん用に設計していたパターンのままでは適さないと、縫製士と相談しながら何度もパターン修正と縫製の調整が重ねられました。このやりとりには、丹菱がこれまで生地の注文に応えてきた技術と提案力、そして少しでもいい商品として納めたいという心遣いが溢れていました。どんな小さな課題でも見過ごすことなく、クリアに進めていくのです。

 

完成した「さざなみヘアターバン」は、ボリューム感のあるコットン生地を使いつつ、すっきりしたシルエットにまとめ、首に直接あたる部分は柔らかなちりめんを使用しています。小さなアイテムに丹後ちりめんの歴史、PARANOMADのアイデア、そして共にものづくりができる関係性がこめられています。

 

 

丹菱をはじめとして、与謝野町岩滝地域には多くの化合繊を専門とする機屋があります。しかしながら、2020年精練加工を行う加工場の閉鎖に伴い、各社は生産体制の見直しを迫られました。そんな中、丹菱は他社の撚糸加工も受け入れるようになります。丹後ちりめんの最大の特徴である生地表面の凹凸、シボを生み出すには撚糸工程が重要です。糸の組み合わせ本数、右方向、左方向どちらに何回撚るのか生地の秘密とも言えるオーダーを丹後のさまざまな企業から受け入れています。技術はもちろん、重要な工程を任せる信頼、ALL TANGO産地として提携していこうという一体感が、丹菱の工場に溢れていました。

 

 

「僕は前にでるタイプではなかったのですが、声をかけられたらやってみようと思うようになって」。宏輔さんは、自身も成長しながら挑戦することの大切さを楽しそうに話してくれました。2021年には工場の空きスペースにファクトリーショップMARUTANを、2023年には天橋立を一望するデッキテラスあまのはしだてテラスをオープン。地域にひらかれた工場として、これからの丹後を盛り上げていく丹菱。ATARIYAのネットワークにも欠かせない存在です。

 

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